「一番下やねん」20年勤めた会社を辞めた部長に、その理由を聞いてみた

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「一番下やねん」20年勤めた会社を辞めた部長に、その理由を聞いてみた

うちの工務部と技術部を預かっている M.K さん(部長)は、ここに来る前、同じ土木の施工管理を20年やっていました。

高速道路の遮音壁や標識を設置する仕事です。ベテランです。

しかも、その会社は親族が経営していました

「転職前の会社は、自分の身内の会社です。父親のお兄さん、叔父にあたる人がやってる会社に」

普通なら、辞めません。辞める理由がないどころか、辞めにくい理由が揃っています。

それでも辞めた話を聞きました。


目次

振り返ったら、誰もいなかった

30代に入って、先が読めるようになった頃だそうです。

「会社の中を自分なりに分析した時に、若い世代がほとんどいてなかった

「施工管理をやっているのも、自分より若い方がいなかった」

「自分より先輩と言われる方が、10歳上が1人とか、20歳上が2人とか」

10年、15年経ったらどうなるか。

「皆さん退職した時に、『お前が上でやってくれ』と言われた場合に」

振り返った時に誰もいないんじゃないか」

自分が引き継ぐ側になったとき、下に誰もいない。その絵が見えてしまった、という話でした。


一番下なのに、全部が回ってくる

もうひとつ、日々こたえていたことがありました。

「協力会社の人もそうですし、メーカーさんもそうですし、何かあったら僕に電話が来る

「社内のトラブルも、全部僕に電話が来る」

なぜか。

一番下やねん

ある夜の話をしてくれました。昼勤を終えて帰ろうとしたとき、現場でトラブルが起きたと連絡が入ります。

帰りかけた道を戻り、現場に行って、話を聞いて、収めました。

そういうことが、何度か続いたそうです。


決め手は、不満ではありませんでした

ここが、聞いていていちばん印象に残ったところです。

不満が溜まると、どうなるか。

「会社のことばっかり不満に思ってて、仕事してるから、仕事に集中できない

そして、M.K さんはこう続けました。

「その時、高速道路で仕事してたんですけど」

仕事に集中してないことが、すごく危険だと」

「もし事故とかしたら、それはまずい」

辞めた理由は「嫌になったから」ではありませんでした。

気持ちが別のところにあるまま、高速道路の現場に立っている。それが危ないと気づいたからでした。


足枷が、外れた

一度は転職を考えて、やめています。子どもが生まれたばかりで、家族に反対されました。

その後、状況が変わります。

「そのタイミングで、父親が亡くなったんで」

「家族も、子どもも大きくなって、『いいよ』っていう話になったから。その足枷が全部なくなって

最初に転職を考えてから、実際に動くまで5年以上が経っていました。


何が変わったんですか

役割そのものは、前職と大きく変わっていないそうです。現場を持ち、部署を預かる。

変わったのは別のところでした。

「やった分、頑張った分が、本当にちゃんと評価されるっていう感触がある」

社長のことも聞きました。

「会社に来ることも少ないですけど、現場からずっと来てますので」

「各現場のこういった状況とか、よく目を光らせて見てる

「大阪もそうですし、東京もそうです。雰囲気が怪しい、そういうアンテナがある

M.K さんから見たうちの社長は、こういう人だそうです。

「先を向いてる、っていうのとはちょっと違う」

いろんな、違うところを見てる


「現場にずっといなくていい」と部長は言います

ここが、建設業のイメージといちばん違うところかもしれません。

ずっと現場に居らなくてもいいと思っているので」

「現場が動いていったら、事務所拠点で仕事をしておく。そういう働き方ができる」

現場に張り付いていれば安心ではあります。でも、それだと書類が終わらない。

「そういった時間を作って、発注者に求められている書類を作ったりとか。それをしていかないと、残業がなくならない

現場に何時間いたかではなく、現場が回っているかで見る。そのぶん、進め方は本人に任される、という話でした。

「うちの谷口(社長)は、無駄なこと、非効率なことを嫌う


未経験を採ると決めた理由

経験者は採れない。それが現実だと言います。

「なかなか経験者がほとんど少ないっていうところで、未経験を取っていかないとなと思ってるんで」

では、何を見るのか。資格ではありませんでした。

「一番いいのは資格を持った方ですけど、仮に資格がなかったとしても

「うちに来て、資格を取ろうという気持ちがある方が一番いいですね」

「今いる若い子たちも、まだ資格はないんですけど、チャレンジしてる。そういう子たちに来てもらえたら」


いちばん意外だった答え

最後に「向き不向き」を聞きました。

細かいところまで気になる人の方が向いている。そう思っていました。実際、M.K さん自身がそのタイプです。

「仕事中はすごい神経質で、現場やってたら細かいことが気になるので、全部潰していきたいんです」

でも、それを勧めませんでした。

「それはそれで仕事には向いてるように見えるんですけど」

本人の精神的な部分でいくと、逆にしんどいんですよね

じゃあ、どういう人が続くのか。

「ある程度のところで『ここはもうここまででええや』」

「次こう、割り切ってパッといける性格を持ってる人の方が」

「『次行ったらええやん』って割り切れる人の方が、心持ち楽なのかなと」

自分がしんどい思いをしてきたから出てきた言葉だと思います。


ただ、責任は軽くありません

割り切れる人がいい、という話は、気楽な仕事だという意味ではありません。

1億とかの現場に、トラックで(資材を)持ってきてもらって、『さあ付けようか』となったときに」

だいぶ損害を食らいますよね」

1日100万とか200万とか動かす。現場の人たち、ガードマンとか」

そのうえで、仕事の手応えをこう言いました。

「全て終わった時に、この現場を俺がやったって言えるのが、やっぱり本望かなと」

工事そのものを手がけたのは職人です。それでも、全体を組み立てて終わらせたのは自分だと言える。

それが施工管理という仕事だ、という話でした。

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